読書の時間「ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄」009

さて、書評です。

今日はアフリカ問題について。
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ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄 (朝日文庫)~著者・白戸圭一~

資源豊かな大陸、アフリカ。

石油・金・すず・銅・コバルト・レアメタル・ウラン、挙げ出すときりがない位の資源大国だ。

そんな大陸の陰の部分を危険を顧みず取材した本である。

著者は、毎日新聞社ヨハネスブルク特派員だった。

日本で普通に暮らしていれば、まさか地球の反対側でこんな事が起こっているなどとても想像がつかない。

流れで言えば、十九世紀後半に世界最大級の鉱脈が発見された。

英国勢力が黒人社会を徹底的に征服、黒人の土地所有を制限し税金を課したため現金が必要となった人々は鉱山へと出稼ぎに行かなければならなくなった。

そこで出てくるのが白人資本の鉱山会社だ、黒人を低賃金労働者として自由に使うためにだ。

ちなみに、その白人鉱業資本の代表格は日本でも、

「ダイヤモンドは永遠の輝き」・「婚約指輪は月給の三カ月分」

などとのキャッチコピーを流し日本のダイヤモンド購買意欲を煽り倒したデビアス社だそうだ。

アパルトヘイトが廃絶された今でも、その構造は変わらない。アパルトヘイト時代に構築された格差が経済成長によって、一層大きくなっているのだからと。

黒人を低賃金で確保することが可能になり、なお一層に支配者層は潤うのだった。

貧富が拡がると治安も悪くなる、みんながみんな貧しい国は治安は悪くならない、

「貧」と「富」が分かれると「貧」が「富」に犯罪を通じてアクセスしようとするからだと。

犯罪とは強盗・住宅襲撃・旅券偽造・麻薬密売・人身売買・など、ありとあらゆる方法を使って「富」にアクセスしようとする。

後、最後の章でソマリアに行く話が出てくるんだけど、それが衝撃的だ。

事実上、無政府国家のソマリアでは警察が存在しない、そもそも法律がないから、人殺しをしても罪にならない所だ。

そんなアホなと思うのと同時に、そんな場所へよく取材に出かけたなと思った。

しかし、海賊の脅威やFGMの問題など数々の国際的問題を抱えている場所に足を運ぶと言うのは、ほんとのジャーナリズムだと感心した。上げ足ばかり取る、どこぞの記者とは大違いだ。

長くなるので割愛させていただくが、もちろん石油の問題やビン・ラディン氏の話も出てくる。

文庫版ではありますが、知識として知っておいて損はしない事が山ほど書いてある、

そして、必ず日本での生活への影響もある事なので、読んだ後は色々な所で日本とアフリカとの繋がりが実社会で見えてくるはずだ。

数ページではありますが、あの成毛眞氏が解説を書いているのも見逃せない。。。



D太郎
by funny-d1000 | 2012-03-26 20:00 | D-taro Bookshelf~書評~

ミニモトでファンライド最高かよ!#860・D太郎より!


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